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最新刊も間近、翻訳家の泉京鹿さんを迎えて 「北京読書会」

泉京鹿さん読書会 【北京 図書 ブログ】
 北京の読書好きの集まり 「北京読書会」 が27日夜、市内東部の 「サロン・ド・千華」 で開かれ、日本から来訪中の翻訳家、泉京鹿さんを迎えて、まもなく翻訳出版される郭敬明・著 『悲しみは逆流して河になる』 (講談社) の最新情報や翻訳の楽しさなどについてうかがいました。

 泉さんは北京大学に留学し、2010年の帰国までの16年間に、『水の彼方』 (田原・著)、『ブッダと結婚』 (衛慧・著)、『さよなら、ビビアン』 (アニー・ベイビー著)、『兄弟』 (余華・著) など中国現代小説を中心に、10冊以上の翻訳出版をされています。

 最新刊の 『悲しみは逆流して河になる』 は、中国の 「80後」 (バーリンホウ、1980年代生まれ) の若手人気作家、郭敬明の代表作の1つ。

 上海のある優秀な高校生が、悩んだり、もがいたり、親に反発したりしながら成長していく姿を描いたピュアな青春ストーリーです。
泉京鹿さん読書会 「高校生の心境が繊細に描かれていて、素直に感動することができた。 08年に第1章が日本の雑誌に紹介された時、(中国文学を講義している) 女子大学生に読んでもらったら、『純粋におもしろい。 さらっと読める』 『中国の名前や地名を除けば、日本の小説として違和感なく読める』 と共感してもらえた。 中国の若者がアニメなど日本のサブカルチャーに日常的に親しんでいる場面も出てくるので、そういうところも楽しんでいただければ……」 と泉さん。

 読書会では、タイトル字がキラキラと光るような趣向が凝らされた美しいカバーも紹介されました。
 来週、6月初めには書店に並ぶ予定だそうで、泉さんは 「80後の若者たちは中国社会の主流だといわれるけれど、(その実態は) 意外と日本に知られていない。 経済、芸術、音楽などを通して断片的に知るよりも、小説という作品を通して (80後の) 全体像を知ってもらえれば」 と本書の魅力を伝えていました。

泉京鹿さん読書会 翻訳という仕事については、「どうしたら翻訳家になれるか?」 という若い人たちの質問をよく受けるそうですが、非常歓迎 (大歓迎)! ただしお金にはならないよ、と言っています (苦笑)」。

 「翻訳は体力、気力、時間、お金がすり減る大変な仕事。 ではなぜやるか? 理由の1つは、私がおもしろいと思った本を、自分の言葉で友人に伝えたいから。 そして読んだ人がおもしろいと言ってくれれば、使った気力や体力、お金以上の喜びになる」

 「2つめは、中国書籍の翻訳は、英語、フランス語に比べたら、競争率は高くない。 日本では中国現代小説の出版件数は多くありません。 そのため余華、田原、アニー・ベイビーら中国の著名作家に会いたいと思えば大抵の場合は会える、翻訳したいと思えばできる。 大きなチャンスがあるんですね。 だから翻訳をやりたいという若い人にはどんどんやってもらいたい」

 「3つめは、充実感や楽しさでしょうか。 翻訳って、1冊終える度にもう2度とやるものか、と思うくらい大変。 1週間引きこもって人に会わなかったり、キャラクターになりきってブツブツ言ったり、変になりそうな時もある。 訳す時は一字一句辞書を引くし、サラサラ読めるわけではないけど、探していた日本語がピタッと合うと気持ちがいい。 言葉を探す過程はとても楽しいものなんです」

 さらに、小説へのこだわりについては――。
 「中国に16年間住みましたが、結局、わからないことだらけ。 わからないけど、わかりたい。 そして私はわからないことを専門書やノンフィクションでなく、小説で理解したい」
 
 「日本の “漢流 (中国) ブーム” はまだ来ませんが、中国は日本にとって無視できない国。 いろんな形で知らなければいけないと思う。 新聞やテレビで報道される事実以外の本当のことを、小説で知ってほしい。 主人公の気持ちになって楽しむことも、中国を知る1つの方法。 そういう意味でも、若い人たちがもっと (中国文学を) 日本語に訳してくれたら、紹介してくれたらいいなあ〜と思います」

泉京鹿さん読書会 続く質疑応答では、出版社へ企画を持ち込む際に大切なこと、翻訳していて難しいこと、日本人が求めている中国モノについて、震災後の出版業への影響……などさまざまなギモンが寄せられ、25人余りが集った会場は熱気でムンムン。

 ベテラン翻訳家の泉さんを囲み、中国文学や翻訳の魅力についてにぎやかに語り合ったのでした。


※ 写真は、泉京鹿さんを迎えた読書会のもよう。

※ 『悲しみは逆流して河になる』、郭敬明・著/泉京鹿・訳、講談社、2415円 (税込)
   アマゾン 


※ 関連エントリー
・ リアルなつぶやきを聴く 『さよなら、ビビアン』  (2007年10月5日付)
・ 『兄弟』 日本出版祝い、余華氏と泉京鹿さんを囲む  (08年7月13日付)
・ アジアの才媛、田原著 『水の彼方』 邦訳版が発売! (09年6月26日付)
・ 田原著 『水の彼方 〜Double Mono〜』 を読む  (09年8月13日付)
・ リアルすぎる!?激動の中国描いた 『兄弟』 文庫版  (2011年4月19日付)



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  • 2019.11.17 Sunday
  • -
  • 17:00
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コメント
私は本が大好きで、こんな目が悪くなり…なんですが…

本は良いですね〜

日本に帰ったらいろんな本をまた読みたいです〜〜
なんと女性だったのですね、あまり翻訳者の方の性別を気にせず読んでました(今、上巻の終わりです)あの描写・・・今思うと流石女性と思う所も多々ありです^^

タイムリーな泉さんの訪中なんだか嬉しい記事です!
  • kana
  • 2011/05/30 1:34 PM
やーうぇんさん: ありがとうございます。
目のほう、どうぞお大事にされてくださいね〜。

昨日のEさんの話、日本で読みたい本のデータを取ってくるとのことでしたが、凄いです!
私はこちらで好きな本を、何度も何度も読み返しています。(^^;
kanaさん: ありがとうございます。
泉さんは女性なんですよ〜。

いま、『兄弟』上巻の終わりですか? 上巻は文革の辛い物語でしたが、下巻のほうがもっと楽しんで読めるかもしれません。

ちょうどお読みの時に、泉さんのお話をご紹介できてよかったです!^^
いけなくて残念だったので、
詳しくレポートしてくださり、
様子がよく伝わりましたー。
うれしいです。
ご出版おめでとうございます。と、この場をお借りして申し上げます。

しかし、まだ完全版が出ていなかったのに少々驚きました。本書の第一章のみ翻訳掲載されていた雑誌が出たのは08年なので、3年越しの上梓でしょうか。

現代中国の歪みに翻弄される少年少女の純真さが日本人にはどう受け止められるのか、反応がとても気になります。
doragonpekinさん: ありがとうございます〜!

京鹿さん、とってもお元気そうでした。

会場も熱気にあふれて(この日はそんなに暑くなかったはずなんですが)クーラーがほしいくらいでしたよ〜(笑)

阿井さん: ありがとうございます。
08年から数えれば確かに3年越しですが、翻訳は早くにできていたようですよ。
当時、3冊くらい同時に翻訳されていたそうで……本当にすごいですよね。

本書の反応、日本人にどう受け止められるかも楽しみですね!
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