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戦後70年・黒木和雄監督 「戦争レクイエム」4作品+α一挙上映へ! 8/1〜

「戦後70年特別企画 黒木和雄監督4作品+α 一挙上映」 【日本 映画 ブログ】

 戦後70年のこの夏、反戦・平和を静かに訴えた 戦争レクイエム 作品で知られる、故・黒木和雄監督の4作品が、東京・神保町の岩波ホールで上映されます。

 8月1日 (土) から21日 (金) までの3週間、「TOMORROW / 明日」 (1988)、「美しい夏キリシマ」 (2002)、「父と暮せば」 (04)、「紙屋悦子の青春」 (06) の4作品と、期間中は毎日、夜の上映回で、黒木監督の短編で劇場初公開となる 「ぼくのいる街」 (89) が併映されます。

 黒木監督は1930年、宮崎県えびの市出身。 2006年4月に他界するまで、その監督人生の後期から晩年にかけて戦争を題材にした作品を多く手がけられました。

 なかでも長崎の市井に暮らす人々の原爆投下までの24時間を描いた「TOMORROW / 明日」、終戦間近の南九州の田舎を舞台にした 「美しい夏キリシマ」、そして井上ひさしの舞台を映画化し、原爆投下後のヒロシマで生き残ったことに負い目を感じる娘と、彼女の前に幽霊となって現れた父親の4日間を描いた 「父と暮せば」 は、「戦争レクイエム3部作」 として広く知られています。
 今回の上映ではこの3部作に加えて、終戦間近の鹿児島を舞台に、死を見つめる若者たちの青春群像を描いた 「紙屋悦子の青春」 も上映されます。

 さらに期間中の毎日午後6時30分の上映回には、黒木監督の劇場未公開作品 「ぼくのいる街」 も併映されます。 戦時の空襲で亡くなった少年が、現代 (80年代) の銀座によみがえり、彼の姿を通して昭和の戦争を写しだす短編作品となっています。

                 ◇         ◇        ◇

 じつは私は、2004年秋に北京で開かれた 「日本映画祭2004」 に 「父と暮せば」 を携えて参加された黒木監督をインタビューしたことがあります。

 その時のようすを、ブログでも少しご紹介したことがあります。 北京にいたころ、黒木監督の急逝に驚き悲しみ、私なりにしたためた追悼文だったのかもしれません (2006年4月14日付)。

黒木和雄監督(2004年秋) ――2004年秋、北京で開かれた 「日本映画祭2004」 に 「父と暮せば」 を携えて参加された黒木監督をインタビューしたことがある。

 おなじみの? 黒づくめのスタイルだった。 「中国のマフィアのようでしょう。こちらの人に、そう言われてしまいました。 フッフッフッ」 。そう笑いながらタバコをくゆらせていたことを、いまでもハッキリと思い出す。

 「ぼくはね、〈満州〉 育ちなものだから、悪いことをしたという加害者意識があって、中国に来るのがじつに後ろめたい。石を投げられるんじゃないか、中国の人に 〈反戦・平和〉 みたいなカッコいい映画を見ていただく資格がないんじゃないか、と思うのです……」

 現代の日本映画への注文も、厳しかった。
 「本物の人間の生活を描くと 〈反戦〉 になるんです。〈反戦・平和〉 を声高に唱えなくとも、結果的にそうなっていく。むしろ、人間の日常生活に深く切り込むことが大事なんです。今の日本映画には、それが欠けている」  (東方書店 「北京便り」 2004年10月号)

 痛切な戦争体験、そして亡くなった友への鎮魂の思いが 「映画を作るもとになっている」 といわれた黒木監督。いまごろは、すべてをやり遂げた清々とした気持ちで、旧友たちに会っているのか。あちらでも、おいしそうに煙を吐いているのだろうか……。

 黒木監督、日本映画界の 〈ボス〉 を失ったのは寂しいけれど、監督の生涯をかけたメッセージを忘れることはないでしょう。
 長いこと本当にお疲れさまでした。いまはただ、すべてを忘れて安らかにお眠りください……。
                  ◇         ◇        ◇

 昨日 (7月27日) からは、参院本会議で集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案の審議がスタートしました。
 本当の平和とは? 戦後70年の夏を迎え、現代の日本人1人ひとりに厳しく突きつけられる問題です。

 黒木監督が 「戦争レクイエム」 作品に込めた痛烈なメッセージについて、岩波ホールで改めて考えてみたいと思います。



※ 上映スケジュール、時間、料金など詳しくは、岩波ホールの公式サイトでご確認ください。
  「戦後70年特別企画 黒木和雄監督4作品+α 一挙上映 戦争レクイエム」


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  • 2017.10.17 Tuesday
  • -
  • 18:30
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク
コメント
さゆりさんの『物語北京』を書評したことがありますが、黒木監督のところは特に印象深かったので、書評でも言及した記憶がありますね。
さゆりさんの実家から「満州国」の貨幣がでてきたはなしとか、私も満州研究がきっかけで中国とかかわりを持っているものですからどうしてもここに反応することが多いです。
「満州国」の革新官僚の孫が、秘密保護法案を通しさらに安保法制を通そうとしていることを黒木監督が知ったらなんといわれるかは、聞いてみたいところではありますね。
  • ゴジラ@北京
  • 2015/08/05 5:18 AM
ゴジラ@北京さん: ご丁寧なコメントをありがとうございます。
そういえば8月5日はゴジラさんの誕生日でしたね? 遅ればせながら、おめでとうございます!^^

またその節は、拙著『物語北京』の書評をありがとうございました。

◆『TOKOTOKO』 2月号に山口さんが書評を!(2009年2月24日付)
http://pekin-media.jugem.jp/?eid=528

過分なるお褒めの言葉をいただき、本当にありがとうございました。
こちら東京では、日々の慌ただしさに流されているようで……やはり北京にいたあの13年間は、私の人生にとってかけがえのない歳月であり、体験、蓄積であったと思います……。

旧満州という時代に対しては、私自身、もっと向き合わなければいけないのですが。

山口さんの「満州研究」がいずれ拝読できる時を楽しみにしております。

ちなみに「満州国」の貨幣の話、ここにもリンクを貼っておきます。

◆旧満州の銅銭 (2006年5月8日付)
http://china-media.jugem.jp/?eid=36

黒木監督については、別エントリーのコメント欄でまた。

改めましてありがとうございました!
>そういえば8月5日はゴジラさんの誕生日でしたね? 遅ればせながら、おめでとうございます!^^

どうもありがとうございます。

>過分なるお褒めの言葉をいただき、本当にありがとうございました。
こちら東京では、日々の慌ただしさに流されているようで……やはり北京にいたあの13年間は、私の人生にとってかけがえのない歳月であり、体験、蓄積であったと思います……。

そうでしょうね。かけがえがないですね。私も少し交錯してます。

>山口さんの「満州研究」がいずれ拝読できる時を楽しみにしております。

近く「満洲」に関する6000字前後の論考が市販の本で共著で出る予定です。
共著ばかりだしてもあれなので、早く単著をどんどん出していきたいです。

最近『地球へ』の竹宮恵子さんが、『紅にほふ』という「満洲」を扱った漫画を描いていますが、これがなかなかよかったです。
  • ゴジラ@北京
  • 2015/08/09 11:41 PM
ゴジラ@北京さん:ありがとうございます。

> 近く「満洲」に関する6000字前後の論考が市販の本で共著で出る予定

おお!そうですか!
おめでとうございます!
刊行のあかつきには、ぜひお知らせくださいね。
拝読させていただきます。

竹宮恵子さんの『紅にほふ』という「満洲」を扱った漫画も、ぜひ探してみたいと思います。
貴重な情報をありがとうございます!^^
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