<< 企画展 「装いの上海モダン―近代中国女性の服飾」、10/28〜12/16開催へ | main | 名匠エドワード・ヤン監督特集――早稲田松竹で10/7〜10/13 上映へ >>

米映画 「メッセージ」 からのメッセージ

  早稲田松竹で

 【映画 言葉 ブログ】
 今年の第89回アカデミー賞受賞作 (音響編集賞) であり、同アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞など計8部門にノミネートされたアメリカのSFドラマ映画 メッセージ を先日、遅ればせながら都内の名画座で鑑賞しました。
 アメリカでは昨年11月に、日本では今年5月に劇場公開された話題作です。

 中国系アメリカ人のテッド・チャンの短編小説 「あなたの人生の物語」 をもとに、アメリカの脚本家エリック・ハイセラーがシナリオ化、そしてまもなく公開される米SF映画 「ブレードランナー 2049」 が話題のカナダの鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホンをとった、異色のヒューマンドラマです。
「メッセージ」資料と原作『あなたの人生の物語』 ――ある日突然、巨大な半球型宇宙船が地球上に降り立った。

 言語学者のルイーズは、謎の知的生命体とコミュニケーションを図る任務を負うこととなり、彼らの “言語” を解明しようと試みるが……。

 この映画、非常に今日的な世界情勢を描いていて、いろいろ考えさせられました。

 映画の原題は 「Arrival」 (到着) で、宇宙船が降り立ったのは地球上の12カ所。 その静かな “脅威” に耐えかねて開戦準備をはじめる国、様子をうかがう国、平和的解決を探ろうとする国など、動揺する各国の対応はさまざまです。

 そして時間が経つほどに、各国が協力しあって困難に立ち向かおうとする絆は弱まり、バラバラになっていきます。しかも自国だけがエイリアンとコミュニケーションをとって、未知の最先端軍事力やハイテクを手に入れようとする “自分ファーストの国” が増えていくのです。

 この構図、しかも映画的に脚色されたこの構図が、私には今の世界を暗示しているように思えてなりませんでした。
 ちなみに本作の主要撮影は2015年6月からカナダのモントリオールで行われ、製作年は2016年となっています。 だからドゥニ監督や脚本家のエリックには予知能力があったのでしょうか!?

 ただ、映画を観ながら、こうも思いました。
 失礼な話かもしれませんが、“謎の生命体” を今の北○鮮に置き換えてみてはどうだろう。
 核実験や弾道ミサイル発射で挑発を続けることで、世界が手を焼き、冷静なコミュニケーションが図れないでいる、かの国に。

 それでも人類 (世界) は 「未知なるもの=脅威」 とみなして先制攻撃することだけは何としても避けなければ。
 相手がどんな目的を持っているのか、外交の力で、またはあらゆる手段でコミュニケーションを図り、それを知ることで最悪の事態を避けなければならないのでは? 
 ましてや現実の世界では、相手は言葉が通じる人間なのだから、その努力を惜しんだり、機会を逃したりしてはならないのでは……?

 映画の本筋からはちょっと外れているかもしれませんが、私はふとそんなことに思いを寄せました。
 テッド・チャンの原作には、こうあります。
 エイリアンの音声の録音テープを再生してみせた大佐に対して、言語学者ルイーズの言葉です。
 
 「未知の言語を習得する唯一の方法はそれを母語とする相手と交流することであり、それはつまり、質問をしたり会話をしたりといったことをするという意味なの。それ抜きでは、どうにもならない。すなわち、エイリアンの言語を習得したければ、実践言語学の修練を受けている人間か――わたしでもいいし、ほかのだれかでもいいけど――エイリアンと話をしなくてはならないということ。録音物のみでは足りないの」 (公手成幸・訳)

 映画では、少し異なる表現だったかと思いますが、大意は変わらないでしょう。
 この原作または映画からのメッセージ、相手を理解するということを、ツイッターやテレビを使って罵り合っている2つの国のトップに、よく考えてもらいたいと思いました。 (ーー;

 映画 「メッセージ」、こんなキナ臭い話ばかりでなく、実際にはもっとロマンティックなドラマですので、未見の方はよろしければご覧ください。

 レンタル大手 「TSUTAYA (ツタヤ)」 でのレンタル開始は、2017年10月18日からだそうですよ。 回し者ではありませんが……。 (^^;)>


※ 写真は上から、
1) 「メッセージ」 を上映した東京・高田馬場の早稲田松竹で。
2) 「メッセージ」 パンフ資料と、原作 『あなたの人生の物語』 (早川書房)。


スポンサーサイト

  • 2017.12.09 Saturday
  • -
  • 15:30
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
recommend
在日中国人33人のそれでも私たちが日本を好きな理由
在日中国人33人のそれでも私たちが日本を好きな理由 (JUGEMレビュー »)
趙 海成
小林さゆり/訳

【中国人著者が聞き出す本音の日本論】
『それでも私たちが中国に住む理由』、待望の姉妹本!
recommend
今こそ伝える日中100人
今こそ伝える日中100人 (JUGEMレビュー »)
北京大学日本校友会

日本と中国をつなぐ100人へのインタビュー集! 私も紹介していただきました。 お陰様でたちまち2刷に!!
recommend
在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由
在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由 (JUGEMレビュー »)

中国18都市に住む、日本人108人のリアルな証言! 取材・編集に携わりました。 5刷 好評発売中!
recommend
中国年鑑 (2012年版)
中国年鑑 (2012年版) (JUGEMレビュー »)

最新中国情報を網羅!
「暮らし」を執筆しています。
recommend
中国年鑑 (2011年版)
中国年鑑 (2011年版) (JUGEMレビュー »)

最新中国情報を網羅!
「暮らし」を執筆しています。
recommend
中国年鑑 (2010年版)
中国年鑑 (2010年版) (JUGEMレビュー »)

最新中国情報を網羅!
「暮らし」を執筆しています。
recommend
これが日本人だ!
これが日本人だ! (JUGEMレビュー »)
王 志強
小林さゆり/訳

【読んで首肯するか、立腹するか! ―― 中国人の対日認識を知るための必読書】
2刷 好評発売中!
recommend
北京探訪―知られざる歴史と今
北京探訪―知られざる歴史と今 (JUGEMレビュー »)

「大ブームに沸く 笑いの文化」を執筆しています。
recommend
出張に役立つ中国語―もう困らない、恥をかかない
出張に役立つ中国語―もう困らない、恥をかかない (JUGEMレビュー »)
ニューメディア研究所thinking

2005年アルク刊
コラムを執筆しています。
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM