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「和僑と華僑が切り開く、日中の未来」シンポ――和僑・華僑の役割など活発に討論

  和僑と華僑シンポジウム_1

 【東京 シンポ ブログ】
 今年の日中国交正常化45周年を記念して、日本に移住し各分野で活躍する華僑 (在日華僑) と、中国に渡り起業した日本人である和僑 (※) の立場から日中関係の未来を考えるシンポジウム 和僑と華僑が切り開く、日中の未来 が10月19日午後、都内の慶應義塾大学三田キャンパスで開かれました (主催・和僑会シンポジウム実行委員会、 関連エントリー)。

 和僑と華僑が一堂に会し、直接対話をするシンポジウムは珍しく、その意味でも今回は画期的な機会となりました。

 会場には、華僑や和僑など日中の企業経営者、ビジネス・教育・文化の関係者、大学生・留学生といった100人を超える人たちが出席。 日中関係の未来や華僑・和僑の役割についての講演、討論に熱心に耳を傾けていました。
 その中で、まず 「日中の未来と華僑・和僑の役割」 と題し、基調講演を行った宮内雄史氏 (東京大学北京代表所長) は、鉄鋼生産、自動車販売台数、スマートフォン・ユーザー数など近年の世界経済・産業における中国の圧倒的存在感を、データを示しながらわかりやすく解説。

 その上で、日本人にとって 「中国に留学する意義」 とは、かつてよくいわれた 「日中貿易、対中ビジネスの機会」 であるだけでなく、「今や世界での事業展開にとって中国要素は不可欠であり、中国を知っていることが世界中で通用する」、そのため中国に留学して現地を深く理解することがその後の事業展開に役立つと強調しました。

 また世界が注目し、各国から優秀な留学生が集まる中国には、「中国を結節点とする国際人的ネットワーク」 が構築されつつある。 そのため中国留学中に優秀な中国人、外国人留学生の友人を作り、将来につながる 「国際的な人的ネットワークを築いてほしい」 などと呼びかけました。

和僑と華僑シンポジウム_2 次いで、東京華僑總会の陳慶民会長が 「華僑の歴史と日本の未来を担う若者へのメッセージ」 と題して基調講演を行ったのに続いて、「華僑に学ぶ −ビジネス、人材育成、文化融合−」 をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。

 ファシリテーター (全体進行) を松野豊氏 (清華大学野村総研中国研究センター理事、北京和僑会副会長) が務め、和僑と華僑の代表5人による活発な討論が繰り広げられました。

 いずれも興味深い内容でしたので、主なパネリストの発言要旨を以下にご紹介します (長文失礼)。

◆庄旭氏 (全日本華僑華人聯合会副会長)――若い在日中国人と接して

 これまで中国から若い技能実習生を日本に受け入れる仕事のほか、優秀な学生の日本留学にも携わった。 30年前は体力や忍耐力のあった若者が一生懸命働いていた。 会員の中には日本で創業し、東証一部に上場した企業が6社あり、日中経済の発展に貢献してきたといえる。
 しかし、今の中国の若者には一部、大卒後にきちんとした仕事に就かず、「一攫千金」 を夢見ている者がいる。 これは良くない部分だ。

 習近平総書記 (国家主席)は、今年の新年の挨拶で 「モチは空から落ちてこない」 といった。 つまり地道に努力しないと、何にもならないということだ。
 昨日 (10月18日) 開幕した第19回党大会で、習近平総書記は3時間半にわたる演説をした。 一分も休まず、水も飲まず、会場にも水を置かず……みんなで努力して仕事をする姿勢を国民に示した。 「楽して儲かることはない、地道に努力することが必要だ」 と国民にメッセージを送ったのではないかと感じた。

◆小松拓也氏 (俳優)――日本の若者は中国の若者に負けている!?

 中国では (仕事を通じて) 若者とコミュニケーションを取る機会が多かった。
 日本語を勉強する若者たちは、日本人と見れば日本語で一生懸命コミュニケーションを取ろうとする。 そこに気迫を感じた。
和僑と華僑シンポジウム_3 日本に1度も行ったことがないのに、日系企業で働く若者、大学生らが流暢な日本語で日本人とコミュニケーションを図る。

 その割合が “異次元” で、ショッキングだった。

 方や日本ではどうか? 
 同じような状況で、第2外国語で中国語を学ぶ日本人学生が、中国人と中国語で話している姿を、僕に限っては見たことがない。 中国人は語学習得に対して非常に熱心だ。

 今年6月には上海総領事館で開かれた 「若者討論会」 にゲストとして出席した。 日本人大学生50人、中国人学生50人が集まり、さまざまな違いを討論した。
 印象に残ったのが、「将来何になりたいか?」 というアンケートの答え。
 日本人は、内向きで安定志向だといわれて久しいが (それを裏付けるかのように) 「公務員になりたい」 という答えが最多だった。
 一方、中国人は 「経営者になりたい」 という答えが一番多かった。 なぜか? 「人の下につくのは嫌だ、一番でなければ意味がない」 という人がいて、多くの中国人学生たちが共感していた。
 日中の若者の考え方の違いを、目の当たりにした。

 安定志向は悪いことではない。 だが、「一番になりたい」 という中国人の発言には 「これから世界を取るんだ」 という強い思いを感じた。 これが今の中国の原動力だ。
 日本ではかつて、こういう気迫で国を作ってきた先輩方が大勢いらした。 でも今の日本の若者を見ていると、10年後、20年後に、今のような日本があるか? モチベーションやエネルギーの部分で中国の若者に負けてしまっているのではないか? と個人的には懸念を抱いた。

◆藤岡久士氏 (上海和僑会会長)――和僑が中国で果たすべきこと

 この十数年間、中国でビジネスをしながら変わる中国を見てきた。 そこは競争の厳しい、過酷なマーケットだ。  中国は広く、中国人も多くひとくくりにはできないが、総じていえるのは、さまざまな分野でレベルが上がってきていること。
 数年前、上海には約10万人の日本人がいたが、今は大分減ってきて5、6万人といわれる。 そのうち (その場に) 本当に日本人が必要なのか?という目で見ると、僕の勝手な肌感覚だが、おそらく今いる日本人 (駐在員) のうち7〜8割は、もういらないんじゃないかと思う。

 それくらい、かつては日本人のアドバンテージがあった。 日本人がいるから、どうにかサービスや品質が保てる、そういうポジションがあった。 今はおそらく、現地の中国人だけでも十分できる。 じゃあ駐在員は何をやっているのか?という話になるが……。
 僕らがそこにいる役割を、真剣に考えなければならない。

 日本人は何が得意か? 新しいものを創造する、もしくは大きな何かを動かす管理職になることは、あまり得意ではない。 単純に考えれば、おそらく 「ブルーカラーの管理」 だ。 扱いにくいブルーカラーを日本人に預けたら、 たぶんコツコツとやる。 そこは日本人が向いている。
 でも、そのポジションって、すごく残念だし、嫌だ。
 だったら何ができるかということをこの何年間か、考えている。

 その中で日本人の僕らは、日本にいる日本人に対して、しっかり情報や事実を伝えていくことが大事ではないか。 それによって日本人、日本の企業を巻き込んでいく。 それが意外に重要になるのではないか、と思う。

 ずっと外国にいても、僕らだけではどうにもならない。 ふと振り返ると、日本の企業や日本人たちは 「中国はもういいよ。 大変そうだし、よくわかんないし」 「だったらアセアン・東南アジアのほうがいい」 といっている。 でも、どこに行っても一緒だと思う。
 100の国があれば、100のルールや習慣がある。 その習慣に対していかに先入観なく、理解した上で、ビジネスができるか? 

 僕ら和僑って、僕の世代で大成功している人はいない。 今、あまりカッコいいことはいえないが、いつかは (大成功する人が) 仲間の中から出てくるはずだ。 自分自身も中国で生き残って、タフにチャレンジし続けようと思う――。

和僑と華僑シンポジウム_4* 私としては、日中ビジネスの現場で活躍される方々のリアルなお話をうかがい、大変勉強になりました。

 また、中国で奮闘を続ける懐かしい多くの友人たちと再会することができ、改めて刺激を受けました。

 う〜ん、やっぱり、島国日本にいて安穏としていては、急速に変化する世界に置いていかれそう。
 もっと視野を広げること、外から日本を見る視点を持ち続けること、失敗を恐れず挑戦すること、進んで道を切り開いてくバイタリティー。

 会場に集まった和僑と華僑の熱気から、今の私に足りないあれこれに気づかされたような気がします。 (ーー;


(※) 「和僑」 とは=祖国日本を離れ、中長期的に異国の地に住み、そこで生計を立てている日本人のことを呼ぶ。 日系企業の駐在員である、現地採用で仕事をしている、現地企業または外国企業で働いている、独立して仕事している、などといったことは問わない。
 「和僑会」 は現在、香港、深セン、上海、北京、タイ、シンガポール、ヤンゴン、東京など、小さな組織も含めて約30カ所で設立され、活動を繰り広げている。


※ 写真は、いずれも 「和僑と華僑が切り開く、日中の未来」 シンポジウムより。
1) 熱心に耳を傾ける会場の人々。
2) パネルディスカッション。 左から陳慶民氏、宮内雄史氏、庄旭氏、小松拓也氏、藤岡久士氏、松野豊氏。
3) 演劇を通して日中交流事業を展開する、俳優の小松拓也氏。
4) ファシリテーターの松野豊さんと、スタッフの1人、小林純子さんと。 懐かしいお仲間です!^^


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  • 2017.11.24 Friday
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