
【中国関係 コラム ブログ】
東京大学の
藤井省三教授 (現代中国語圏文学・映画専攻) が、『日本経済新聞』 中国語ネットの 「
日経中文網」 に連載されているコラムの第12回がこのほど、公開されました。
藤井先生ご本人より、早くにお知らせをいただきながらご紹介が遅れてしまい、大変失礼いたしました。 m(_ _;)m
今回のテーマは
「“網”言可畏 〔もうげんおそるべし〕─―中国のネットデマと魯迅の教え」。
前回もこのブログでご紹介させていただいたのですが (
関連エントリー)、今回はその後日談ともいうべきものです。
中国のネット上で、藤井先生に関する
デマ“報道”を見つけられた一件のそれから、についての報告なのですが、冒頭で
「展開は 『大笑い』 どころではなく、いささか驚くべき恐ろしいものとなっている」 と述べられていますので、事は穏やかではありません。
先生が書かれている通り、まさに
「ネットは諸刃の剣」 であるといえましょう。
インターネットの発達によって情報伝達が便利でスピーディーになった反面、そこには正しい情報も、誤った情報も同じように飛び交っています。 ネットはまさに玉石混淆の情報が入り乱れるカオスな空間なのですが、しかしだからこそ、それを使う私たちの
リテラシーが問われているような気がします。
最近、世間を震撼させている
Z市の大事件も、手軽なネット上のやりとりによって被害が拡大してしまいました。
リアルとバーチャルが混在する時代、まずは自らが
情報リテラシー、メディアリテラシー、ネットリテラシーを高めて、この混沌とした時代を生き抜かなければならないのかも……。 そう書いたら、なんだかすごく大げさに聞こえてしまうかもしれませんが。。。
いずれにしても、ITの発達によって、誰しもがかつて経験したことのない情報時代に私たちは直面している。 だからこそ正しい判断能力を身に付けておかなければと、私は藤井先生のコラムを拝読しながら、そんな脱線した連想を逞しくしてしまいました。
同コラムではもちろん、「中国のネットデマ」 のみならず、今から80年以上も前に文豪・
魯迅が書いた 「
“人言可畏 (じんげんおそるべし)” を論じる」 というエッセーにまつわる興味深い話も紹介されていて、勉強になりました。
先生によれば、「
人言可畏」 は 「『詩経』 に典故のある言葉」 だそうです。 紀元前に作られた中国最古の詩集 『詩経』 に 「人言可畏」 (人のうわさは恐ろしい) という言葉が載っているそうで――人間の本質は、何千年の時を経てもあまり変わらないのだなぁ〜〜とも思いました。
これも脱線した感想でした (汗)。
よろしければ藤井先生のコラムをぜひお読みください。 そしてネット社会の弊害と、こうした時代に一人ひとりがネットとどう向き合うべきかについて、少し立ち止まって考えていただければ幸いです。
◆ 「日経中文網」 藤井省三教授のコラム 「老外漢学家の繰り言(12)」
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中国語版: 〈 「網」(枉)言可畏——網路謠言和魯迅的教誨 〉
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日本語版: 「“網”言可畏 〔もうげんおそるべし〕─―中国のネットデマと魯迅の教え」
※ 写真は、本文とは直接関係ありません。 北京の魯迅旧居、八道湾胡同11号院 (
2009年7月)。 再開発のため、今はもう取り壊されたかもしれません。