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北京雑感2018 (その4) 管理される都市 (下)

北京雑感2018(その4)_1 【北京 雑感 ブログ】
 管理が進む都市の姿は、北京の至るところで見聞きしました。

 まず、市中心部を東西に走るメインストリートの長安街などからは、従来あちこちに点在していった新聞・雑誌スタンドの 「報刊亭」 が撤去されてしまいました。
 大通りから一歩入った横町にはわずかに残されていましたが、以前私が住んでいた5年ほど前と比べると、その数はだいぶ減らされてしまったようです。

 「首都の美観を良くするためでしょう」

 そう知り合いの北京市民は言っていましたが、新聞スタンド減少の理由はそれだけでしょうか? もちろん、スマートホンによる閲覧が普及して、紙メディアの購読者が減ったこともあるでしょう。

 しかし、実は理由はもう一つあるようです。 地方からの出稼ぎ労働者を追い出すための口実だ (!?) というのです。
北京雑感2018(その4)_2 出稼ぎ労働者についていえば、以前は街角でよく見かけた屋台も、今回はとんとお目にかかりませんでした。

 中華風クレープ「煎餅」(ジェンビン)や、さんざしの飴がけ「糖葫芦」(タンフールー)、ほかほかの肉まん、野菜まんの「肉包、素包」(ロウパオ、スゥパオ)、寒い時期にはありがたい、ほくほくの焼き芋 「烤地瓜」 (カオディーグア) など。

 そうした、リヤカーや三輪車で売られていた北京伝統のB級グルメ (おやつ) が、街角から一掃されてしまったのです。 

 B級グルメの売り場は、露天の屋台から大型スーパーや商業ビルの一角に移り、より限定化されるとともに衛生的になりました。 と同時に、北京市郊外などから屋台を引いて来ていた出稼ぎ労働者の姿も見かけなくなった、というわけです。

 庶民的な屋台や物売りといった北京の昔ながらの風景が消えていくようで、寂しい限り……。 そんな地元の人々の声も聞かれました。 (T_T)。。。

 しかしそれは、昨年の訪問時にも耳にした 「経済の高度成長から質の高い発展への転換」 「首都機能の分散・発展」 という現政権の発展戦略が、着々と推し進められている証なのかもしれません (関連エントリー)。

 ちなみに 「首都機能の分散・発展」 とは、増えすぎる人口を抑制するための方策の一つ。
 なんと大胆なことには、これまで市中心部にあった北京市政府も、東郊の通州区に移転することが決定。 目下、数年がかりで北京副都心を作る 北京市政府搬迁 (東迁) (北京市政府東部移転) プロジェクトが大車輪で進められているそうです。

 それに伴い、市職員ら約40万人が移動を余儀なくされるといいます。 彼らは子どものエリート教育を維持するため自宅を引っ越すこともできず、庁舎移転後は毎日片道約1時間半をかけて通勤しなければならない、という苦労話も聞きました。

北京雑感2018(その4)_3 出稼ぎ労働者だけではありません。

 外国人就労者も、当局により2017年4月から 「ABCランク付け」() されており、就労ビザが取りにくくなっている、徐々に “国外追放” されているというのです。

 () Aランクはハイレベル人材、Bランクは専門人材、Cランクは一般人員で、加算方式の点数によってランク付けされる。 Aランクはノーベル賞受賞クラスで、中国当局が居住を奨励する人材だが、Cランクは居住が厳格に制限される人材。

 「中国は発展し、一般の外国人就労者に、もう教えてもらうことはない。 就労ビザの厳格化もその現れ。 そうでなくても人口大国における雇用創出は、長年の課題ですからね……」
 そう話してくれた日本人駐在員もいました。

 より厳しく監視され、管理され、人口が抑制される都市・北京。
 昨年、北京で会ったある日本の友人が、「北京はシンガポール化するのかも……」 と言っていたことをふと思い出しました。

 その狭い国土から、ビザ取得に高いハードルを課し、富裕層のみ囲い込むという政策をとるシンガポール。
 中国の首都・北京の場合は、とくに身元の知れた 「人品卑しからぬ人物」 が重視されるのかもしれませんが、友人の予想は、1年経ってますます現実味を帯びているような気がしたのでした。 (ーー;
 
   (この項、終わり)


※ 写真はいずれも北京で、2018年12月撮影。 上から
1) 昔ながらの風情を残した胡同 (横町) も、取り壊しや再建が進められていた (東城区)。
2) 閉鎖されてしまった新聞スタンド (崇文門)。
3) 古い住宅エリアのここにも、以前は新聞スタンドがあったが……(東城区)。


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  • 2019.06.16 Sunday
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