中国産冷凍ギョーザを食べた千葉、兵庫両県の計10人が激しい中毒症状を訴えていたことが30日、日本のメディアに報じられました。 両県警の鑑定によると、
メタミドホスなどの高濃度の有機リン系農薬が検出されたそうです。
中毒症状が現れた10人はいずれも回復したか、快方に向かわれているとのことですが、思わぬ災難にご同情申し上げるとともに、1日も早く
完治されることを心よりお祈りするものです……。
ところでこの日、外出から戻ったところへかかってきたのが、長野の実家からのスカイプ電話。 「なにか用〜?」 と、のん気に応じた私を、母は
一喝したのでした。
「冷凍ギョーザは、食べないで!!」
ふだんは余程のことでもなければ、実家から電話などありません。 日本のBS放送が入らない北京の我が家では、いつになくまくしたてる母のようすで、ことの重大さを知ったのでした。
しかし、「
火中の栗を拾う」 ということわざもあるとおり、
やじうま根性丸出しの私はさっそく、近所の大型スーパーへと向かいました。 あくまでも自己責任を負う覚悟で、
火中の冷凍ギョーザを求めるためです。
北京市のほぼ中心部にある繁華街の
崇文区 (すうぶんく) には、約
13万区民の胃袋を満たす市場やスーパー、デパートが数多く集まっています。 その中のひとつ、S商場の地下スーパーは、崇文区でも1、2の規模と品数をほこる人気店です。
広々とした冷蔵・冷凍食品コーナーで見つけたのは、
ジャッキー・チェンがイメージ・キャラクターに起用された冷凍食品大手 「
思念食品」 の水餃子。 同社は、北京五輪の冷凍食品部門の独占サプライヤーで、パッケージには 「
京」 の文字と 「
人」 の形をデザインした北京五輪のロゴマークがついていました。 小ぶりのギョーザ24個入り (450グラム) で、4.99元 (1元は約15円、約75円) と、地元の物価からしてもかなりのお手ごろ価格です。
ほかに、「
毛毛」 「
三全」 「
鳳竜」 などの大手メーカーの各種ギョーザがありましたが、今回の “問題ギョーザ” の製造元である中国の食品会社 「
天洋食品廠公司」 (河北省) の商品は見あたりませんでした。 公式サイトによると、同社は正式には 「河北省食品進出口 (集団) 天洋食品廠」 といい、冷凍食品の加工と輸出を主な業務としています。 どうりで、全国規模ではあまり知られないメーカーだったというわけです。
おりしも、民間で最大の年中行事である
春節 (旧正月、今年は2月7日) を間近に控えた中国。 旧暦の大晦日には家族そろって手作りギョーザを食べる風習がありますが、慌しい現代では、手軽な冷凍ギョーザがもてはやされるようになりました。 この日も、スーパーではギョーザのパックをいくつも買い込む客の姿が見られました。
今回のギョーザ事件の波紋は、日本でのみ広がったわけではありません。
春節を前にした中国、そして中国食品を輸入する全世界に及んでいます。 「ジェイティフーズ」 (東京・品川区) ら輸入元には、速やかな事実解明と情報公開をお願いしたいところ。 事態を重く見た中国当局も、即座に全面的な調査を始めたもようです。
餃子 (ジャオズ) は、「子」 の時刻に新年が交わる (交子=ジャオズ) という発音と意味を兼ね備えた、縁起のいいい食べ物です。
春節を前に、一刻も早い事態収拾を願いつつ、
ジャッキー・チェンのお勧めギョーザに舌鼓を打ったワタクシでした。
※ 写真は、北京市内のスーパーで売られる冷凍ギョーザ (上)、ゆでたてギョーザ (下)。